成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

2014-01-01から1年間の記事一覧

労働紛争における「あっせん等」は使用者側(企業側)の「フェイルセーフ」。

「紛争解決手続代理業務試験」の合格を社会保険労務士名簿に付記された「特定社会保険労務士」は既に1万人を超えています。しかし、企業側、使用者側でのみ仕事をする社労士であれば、その殆どが、個別労働関係紛争の裁判外紛争解決手続、所謂「あっせん等」…

公式ブログ再開!「日テレ女子アナ内定取消事件」に見る労働紛争の「不可逆性」

ブログ再開、久々の記事投稿です。 10月初旬から「紛争解決手続代理業務試験」の受験資格を得るための「特別研修」を受け、先週11月22日に無事受験を終えました。当初の予定では、この間も若干ペースダウンしながらブログを書き続けるつもりだったのですが、…

「グローバル人事」の要諦は巧みな「ダブル・スタンダード」にあり。ある仕事から気付いた事。

「日本の企業人事のフロントランナー」と言われる日立製作所で、管理職の年功賃金を廃止するという人事施策が打ち出されました。 これに関しては、「国際化」対策という様な論調が多かったわけですが、実際はそれだけでなく、背景にあるのは「人事流動化」の…

その後の「たかの友梨ビューティクリニック事件」。危機管理の基本が問われているのに。

残業代未払からパワハラ騒動へと発展していた「たかの友梨ビューティクリニック」の労働トラブルですが、新たな展開が出てきました。 「弊社従業員への謝罪及び弊社の労務環境改善に向けた取り組みについて」というプレスリリースが出て、一件落着かと思いき…

「内定式」から「入社」まででやるべき労使コミュニケーション。「スキル・パス」の見える化について。

昨日は全国的に「内定式」という法人組織が多かったと思います。使用者側が「内定通知」を出し、それまで「内々定者」であった新卒予定者が「承諾書」等を提出すると、原則として「(就労)始期付解約権留保付労働契約」の成立です。 「始期付」は学校を卒業…

「ICレコーダー」が人事マンのマストアイテムである理由。

会社や法人組織がそこそこの規模になったら、総務(人事)から「ICレコーダーの購入について」という稟議書が回ってくることがあります。この時、経理部長や経営者の方には、ろくに読みもしないで否決するの止めて頂くようにお願いしたいと思います。 多くの…

シリーズ「次世代型人事労務管理を求めて」 ①「メンバーシップ型(組織構成型)雇用」とは何か

週一位のペースで、シリーズ「次世代型人事労務管理を求めて」と題して書いていきたいと思います。今日はその第一回で、人事労務管理の前提となる「雇用のあり様」についてです。人事のプロですとか、人事コンサルですと自称する人は、この議論をすっ飛ばし…

「短時間正社員」を生産性向上に活かす。それは組織に「大人」を増やす試金石だ。

昨日労働問題解決ブログの方で「限定正社員」について書いたのですが、今日のネットニュースでは、労働時間を限定した「限定正社員」である短時間正社員が職場で孤立するケースがあるという様な記事が流れていました。 確かにご尤もな記事ではあります。「…

マタニティハラスメント訴訟から考える労務リスクマネジメント

私も会員になっている「NPO法人労働者を守る会」からも傍聴に行っていた様ですが、昨日最高裁で「マタニティハラスメント」に関する異例の上告審弁論が行われました。 広島市の病院に勤務していた理学療法士の女性が、病院を運営する広島中央保健生活協同組…

「採用力」アップを妨げる「三つの壁」とは何か。魅力ある企業なのに「採用下手」な理由。

直接的か間接的かは様々ですが、最近「採用」についてお話させて頂く機会がグッと増えました。大企業に加えて、ベンチャーや第二創業企業等の「採用現場」を経験している社労士というのが実はあまりいないというのもあるのかもしれませんが、業種によっては…

「医師」「法曹」「教員」「看護師」の人員需給ギャップ。文科省の「集団浅慮」から学ぶ。

現在の「医師」「看護師」不足と将来的な「看護師」過剰、「法曹」人口の過剰、一時的な「教員」不足と2021年以降の「教員」過剰…。医療・司法・教育など、これら国家の基礎に関わる分野で、人材養成の制度的不備を作り出しているのは、現状では文部科学行政…

データで語る人事。「働く環境が社員に高く評価される企業は利益成長率が高い」という事実。

我々社労士が「働く環境の改善が業績向上に繋がる」と言っても、「また“念仏”を唱えている」くらいにしか感じない経営者は少なくありません。しかし表題にも掲げたように、我々も感覚だけでモノを言っているわけではなく、現実にデータがそれを裏付けていま…

「囲い込み型」より「啓発型」インターンシップが有効!2016年新卒採用対策のツボ!!

何度か書いていますが、2015年新卒採用がヤマ場を越えて、2016年新卒採用へ企業人事の関心・アクションもシフトしています。 2016年新卒の倫理憲章による採用スケジュールの後ろ倒しは、折からの「新卒売手市場化」の中で当初の狙いが外れ、既に「逆機能」…

「軍師官兵衛」の黒田家を支えた「異見会」。生き延びる技術としての「社員総会」「ブレーンストーミング」。

今年の大河ドラマ『軍師官兵衛』の黒田官兵衛の時代か、あるいはその嫡男で福岡藩初代藩主の黒田長政の世か定かではありませんが、外様大名として幕末まで生き残った黒田家では、「異見会」別名「腹立たずの会」というのが開かれるようになったと言われてい…

「60歳代の社長」の半数以上が後継者不在。新たな労使関係の課題。

新厚生労働相が年金積立基金管理運用独立行政法人(GPIF)によるベンチャー企業投資について前向き検討の意向を示したり、「起業」を増やすという政策には、ようやく重い腰が上がり始めたきた様に思います。 今政府がやっている成長戦略などが、どの程度マクロ…

「欠員補充の採用こそコストだ」。だから伸びるIKEAの人材投資とESI人事。

多くの流通小売でもパート従業員の正社員化は進められていますが、イケア(IKEA)・ジャパンでも9月から2400人のパートを正社員化するとともに新人事制度を開始したそうです。それは、純日本型でもなければ、米系企業にありがちな「アメリカン・スタンダ…

伸びる会社は「エンプロイアビリティ」の共創ために「採用」「人事制度」を変革していく。

労働問題解決ブログの方でも書きましたが、この国の労働政策は「グローバリズム」の下で、「職業教育」をどのセクターが、どう担うのかという根本的な問題を棚上げにしたまま、「職務型(ジョブ型)雇用」へと舵をきっていくことになりそうです。 ただし、高…

“ミスター牛丼”吉野家・安部社長退任の辞とサービス業再生の労使関係。

“ミスター牛丼”吉野家の安部社長は、現代の優れた経営者お一人だと以前から尊敬していました。その安部社長が退任されるに際して、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応えておられます。 安部氏は、まず人口減少社会における外食産業の単価アップ、従…

サイバーエージェントの「macalon(マカロン)パッケージ」って何だ?女性が長く働き、活躍するための新人事制度とは?

日本の人事部「HRアワード」というイベントがあります。2014年の今年も様々な人事分野の取組み、書籍、サービスがノミネートされています。 企業人事部門で注目なのが、サイバーエージェントの女性社員向け新人事制度「macalon(マカロン)パッケージ」で…

手段としてのIPO(株式公開)と社労士の役割。ガバナンスの確立が成長と幸福を招く。

先日高校の同窓会で会った同級生の公認会計士から最近のIPO(株式公開)準備の動向を聞く機会がありました。またぞろ証券会社主導で出鱈目なIPOブームが起きそうな匂いがプンプンします。 IPOは当然市場からの資金調達が主たる目的ですから、その…

政府が“スーパー・フレックスタイム制”を検討中。しかしそれは「大人の組織」にしか使いこなせない。

政府が、「1ヵ月超」の「清算期間」で運用できるフレックスタイム制のための法改正を検討しているというニュースが流れてきました。これを仮に“スーパー・フレックスタイム制”と名付けることにしましょう。 現行の「フレックスタイム制」は「1ヵ月」を上限と…

「たかの友梨ビューティクリニック」の未払賃金に労基署の勧告。頻発するサービス業の「自傷行為」。

先日は私の労働問題解決ブログの方で、関西でマッサージチェーンを展開する「Relax」の有休取得時賃金未払とその書類送検を取り上げましたが、今度はエステの「たかの友梨ビューティクリニック」で、同様の事案の労基署是正勧告があった様です。毎週毎週この…

「成果主義」「インセンティブ」が日本企業で効きにくい理由。新たな日本型賃金報酬制度とは?

かつて持て囃された「成果主義」の失敗については、例を挙げるのにきりがないほどですし、それと反対に、「インセンティブ」部分の大きい報酬制度の導入で会社が持続的に成長しているという例は、一部の特殊な業種や職務(例えば訪販の化粧品会社の営業など…

「短時間労働×ワークシェア」も選択肢。労務管理をフルスクラッチで見直し、超人手不足時代を乗りきる。

社会人経験のある主婦に特化した事務職の人材派遣が伸びているという記事を見かけました。 私も過去に管理部長を務めた会社で使ってみたかったのですが、経験が浅くても「フルタイム派遣」が大好きなトップマネジメントの反対にあって、その時は導入を見送っ…

「学習する組織」を創るために。リーダーが心に留めるべき二つのこと。恩師から贈られた言葉より。

昨日、高校卒業30年の同窓会がありました。出席者数は4割の約80人でしたが、医療、学術研究、ビジネスを中心に各界で活躍している学友、そして恩師の皆様が母校・大阪星光学院に会しました。 30年前と変わらぬ恩師お二人のご挨拶は、非常に重みがあって、ぶ…

「退職コスト」再考。超人手不足時代の「できる経営者」は、まず組織の「保全」「再起動」に注力する。

何度か書いていますが、日本企業の特徴として総じて、「採用費」という財務会計上のコストは頭にあっても、「退職コスト」という管理会計上の概念に対しては意識が希薄です。 人材採用にコストをかけることにはシビアながら、人が辞めていくことには鈍感で「…

医療現場の人事労務管理について。「医療労務コンサルタント研修」に欠けているものとは何か?

私の仕事は、言うまでもなく、日常的には企業の人事労務管理に関するものが中心です。ただ、私自身は全くの門外漢ながら、中学・高校の同級生の約2割が医師ということもあり、医療現場の話を聞く機会も多いので、遅まきながら「医療現場」の労務管理について…

米国型人材マネジメントは「人のチカラ」に期待しない。自社の人材マネジメントはどうあるべきか?

従来、日本の経営者には「組織」「人事」に通じた人が多かった言われています。実際今日程経営環境の変化が激しくない時代には、メーカーや商社では、次世代の「経営者」と目される人材に、子会社の社長や人事部門を経験させた後ボードメンバーとし、そこか…

提訴された厚生労働省認定「若者応援企業」。どうすりゃいいのさ、「ホワイト証明」。

厚労省が認定した「若者応援企業」のIT会社に就職した24歳の女性が、会社と派遣先を相手取り、賃金や慰謝料など約500万円の支払を求め東京地裁に提訴したという記事を目にしました。いや~、それにしてもほぼ毎週こうした記事が出ますね。 情報が少なすぎる…

超人手不足時代の「採用力向上プロジェクト」(3) ~労使関係のデザインにどう踏み込むか~

これまでが「人余り」時代であっただけのことで、一度「人手不足」となれば、採用はもはや営業と同じく、戦略、戦術を駆使して臨まなければならない修羅場と化します。 当たり前ですが、採用する側に、入社して働いてもらうための「魅力」がなくてはどうにも…