成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「採用力」アップを妨げる「三つの壁」とは何か。魅力ある企業なのに「採用下手」な理由。

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直接的か間接的かは様々ですが、最近「採用」についてお話させて頂く機会がグッと増えました。大企業に加えて、ベンチャー第二創業企業等の「採用現場」を経験している社労士というのが実はあまりいないというのもあるのかもしれませんが、業種によっては人手不足で事業拡大どころか業務遂行に支障をきたしているという報道等に、敏感に反応している企業が増えたのが主因ではないかと思います。

 

お話をしていて、中途採用はもちろん、新卒採用でも十分戦えるだけのポテンシャルがあるのに、諦め気味の中堅企業、優良中小企業が実に多いことに驚かされます。もちろんその逆に、我々が客観的に見て「採用で苦労するだろうな」と思われる企業なのに、採用関して妙に「高飛車」な態度の会社というのもまた多いわけですが…。

 

後者の会社については、そもそもの考え方を改めてもらわないと、我々がどの様な手を施しても「採用上手」な会社にはならないわけですが、前者はかなり高い確率で「採用力」を高め、現実に採用する人材の質をレベルアップすることが可能です。但し、それには越えなければならない「三つの壁」があります。

 

まず第一は「魅力化の壁」です。「採用」は本質的には「営業」とよく似ています。自社の製品の優れた所を洗い出し、それを求める顧客をスクリーニングして様々な手法でアプローチを試みるのが「営業」の本質とするならば、「採用」にも当然そのプロセスが必要です。できる採用マンからは「そんなことは分かっている」とお叱りを受けそうですが、これが意外とできていない。もちろん嘘をついてはいけませんが、採用を行うにあたって自社の魅力を明確にしそれに磨きをかけたり、準備段階で自社を点検し組織として不備な所があるならそれを繕ったりする作業は、とても重要です。また、そうして練った自社の「魅力」を前面に押し出したコンテンツで募集をかけるべきなのですが、いわゆる中堅や優良中小企業の採用媒体に掲出されているものをみると、多くは媒体側がインタビューして作った無難な準備原稿を、殆ど手直しせずに使っています。媒体側の意見も当然聴かないといけませんが、エッジの効いた募集コンテンツでないと、エントリー数を大きく伸ばすということはできず、「採用力」アップのための入口が作れないことになります。

 

二つ目は「投資の壁」です。採用費の予算は、大体一人の採用にいくらかけるかという相場を基に、年度毎に採用予定人員を決め、単年度の予算として計上し管理するのが一般的でしょう。しかし、それではカバーできないことがあります。採用媒体の募集コンテンツだけでなく、今やエントリー増のためには、採用向けの短編動画コンテンツ配信などで、事業内容や実際に働くロールモデル人材を分かりやすく魅力的に紹介したり、SNSでそれらを二次活用したりというのは、募集の常套手段になりつつあります。これらコンテンツは単年度しか使えないものでなく、ある程度追加コストが発生するにしても一定期間利用可能なものです。ですから複数年度で費用化する「投資」と捉えて制作を検討してもらいたいと思います。そうでないと中堅企業や優良中小企業と言っても、それらの制作に二の足を踏んでしまうでしょう。他部門とのコンテンツの共用なども視野に入れながら、この「投資の壁」を越えることも「採用力」アップに欠かせないファクターだろと思います。

 

そして最後に「手法の壁」です。もちろん予算の制約があるので限界はあるのですが、新卒採用について言えば、従来の「ナビ」型媒体への掲出は避けて通れないところでしょうが、状況が許すなら「オファー」型媒体による「一本釣り」という手法も併用したいところです。限られた母集団であるとは言え、「魅力化の壁」を越えている企業ならば、欲しい人材に向けてダイレクトに訴求できる機会は、やはり活かしたいですからね。また、意外とこれに注力する会社が少ないのですが、実際に採用活動が始まってからエントリー数を増やしていくための仕掛けも大事です。新卒の場合であれば、ユニークかつ実のある説明会、丁寧なコミュニケーションで就活生にアプローチして、就活に関連する「掲示板」等での「サイバーバズ」を追い風にしたいわけです。そのためには、手間暇を惜しまないフォローと採用側の応募者へのリスペクトが肝要だろう思います。

 

長々書きましたが、中堅や優良中小で知名度のない企業でも、抽象的にはこの「三つの壁」を越えることのできる企業なら、程度の差はあっても「採用力」を引き上げることは難しくはない。そう私は考えています。

 

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