成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

データで語る人事。「働く環境が社員に高く評価される企業は利益成長率が高い」という事実。

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我々社労士が「働く環境の改善が業績向上に繋がる」と言っても、「また“念仏”を唱えている」くらいにしか感じない経営者は少なくありません。しかし表題にも掲げたように、我々も感覚だけでモノを言っているわけではなく、現実にデータがそれを裏付けています。人事コンサルティング会社のエーオンヒューイットが行ったこの調査もその一つでしょう。

 

良い雇用主であると社員から認識されている企業は、「利益成長率」が高いだけでなく、離職率は低く、特定部署で人材に不足が生じてもそれを社内で補える確率が各段に高い。これは顧客目線で見れば、高い安心感を感じる企業ということになります。離職率が低いからコロコロ担当者が変わることもなく、仮に担当者が辞めても代わりになる人材が次々出てくる取引先であれば、「安心して取引できる」という印象を持つ。だから結果的にディールが増え、「利益成長率」が高くなる。これは極めて当然の理路と言えましょう。

 

ああ言えばこう言うで、こういうデータを見せても、「こんな調査は日本の中小企業とは何の関わりもないよ」と言い、相変わらず従業員に圧力をかければ、その分だけパフォーマンスがあがると信じ切っている経営者の方が圧倒的に多いのが現実です。またそういう経営者ほど、「家族主義」などという言葉を安易に持ち出すので、さらに始末に悪い。どこかの居酒屋チェーンが良い見本です。

 

単に甘やかすというのではなく、そこにリスペクトがあり、期待とそれに応えようとする信頼関係を感じさせる社内の仕組みや人事制度づくりに踏み込む。まあ、本音で言うと、その前提として、飽くなきスケベ心をもって少しでも良い人材を採用しようと努力する。これらの経営努力とその成果の間には、紛れが少ないものです。

 

しかし多くの経営者は、そういことよりも、新規事業を立ち上げたり、M&Aをしたりすることの方が利益が伸ばせると思っている。もちろんそれらで利益が伸ばせる可能性がゼロとは言いませんが、大方は既述の組織変革よりもパーセンテージが低い話です。

 

そりゃそうでしょう。新規事業で直ぐに利益が出るくらいなら、日本はとっくに「起業大国」になっています。M&Aで買った会社が手をかけないでも利益を生むくらいなら、会社を売ったりする人は直ぐにいなくなるでしょう。新規事業M&Aももちろん否定するところではないし、大切な経営行動ですが、組織変革という地味でしんどいけれど、やりきればパーセンテージの高い作業に、正対する経営者が増えないと、日本経済の浮揚なんて言うのはあり得ない様に思います。

 

“対症療法型”ばかりで、久しくそういう“根治型”の政策も、あるいはそれを導き出そうとするオピニオンリーダーも出てきていない。それだけは確かな様な気がします。

 

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