成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「医師」「法曹」「教員」「看護師」の人員需給ギャップ。文科省の「集団浅慮」から学ぶ。

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現在の「医師」「看護師」不足と将来的な「看護師」過剰、「法曹」人口の過剰、一時的な「教員」不足と2021年以降の「教員」過剰…。医療・司法・教育など、これら国家の基礎に関わる分野で、人材養成の制度的不備を作り出しているのは、現状では文部科学行政です。

 

綿密な人員計画もないまま、教育機関の設立・改変、学部・学科の増設や定員増、プロフェッショナルスクール(法科大学院ほか)の新設にお墨付きを与えるという行政システムが、専門人材の育成に様々な問題を生じさせているということに、文科省の役人は無自覚です。いや正確には、役人個々人は自覚しているにしても、組織として「労働政策は厚労省の考えること」くらいにしか考えていない。それは当たらずとも遠からずでしょう。これを組織行動論的には「集団浅慮(しゅうだんせんりょ)」と言います。

 

しかしそういう「集団浅慮」によって、社会を支える専門家のあり様、専門家を目指そうとうする若年層の意思が大きくかきみだされていては、市民の側はたまったものではありません。そうした「集団浅慮」が、中長期的な国益も損ねると考えるのは何も大袈裟な事ではありませんから、それを防ぐために様々な諮問会議などを設け、政治家や役人以外の人間が政策決定に関わる様になっているわけです。仕組みとしてはそこまで考えられていて、よくできていますが、それ自体も「予定調和」として機能しなくなると、目の前の問題解決のために、問題の本質から目をそむけ、ついには「それは誰かが考えているはず」となってしまう。全く危うい組織行動、「集団浅慮(グループ・シンク)」です。

 

これは民間企業にだって起こることです。一昔前はこれを「大企業病」と称していましたけれど、実はこうしたことは、今や中小企業やベンチャーでも十分に起きます。

 

日本経済が右肩上がりの時代は、ちょっとやそっとの事業の成功では、社会的に注目されることが少なかったわけですが、今や起業したり組織変革に成功して事業を拡大するということ自体の難易度が上がっている。その上、ネット隆盛でメディアに取り上げられる垣根は昔よりずっと低くなっていますから、所謂「ぽっと出の成功者」が注目を浴びる機会はかなり増えています。そうするとチヤホヤしてくれる人達が、周囲に瞬く間に増えます。典型的なのは、金融機関の人間ですが、これまで鼻もひっかけなかった会社に「一度お会いしてじっくりお話ししたい」などと言って日参してくる。そういう経営者の自慢話を聞いたことありませんか?

 

そういう自慢話をしている経営者の会社は既に「集団浅慮」の入口に立っています。多くの場合、事業の成功がトップの力のみで成し遂げられることはありませんし、そこに至るまでに牽引してきた「創業メンバー(改革メンバー)」がいることが多いわけですが、当然世間のチヤホヤはトップのみに向けられますから、多くの「ぽっと出の成功者」はここで勘違いを始めます。

 

そこから先は、これまで聞きけていた「社内の声」にも耳を貸さなくなる。そうなると「創業メンバー(改革メンバー)」は会社を去るか、沈黙し始める。こうして新手の「大企業病」でない「集団浅慮」が完成するわけです。それは「トップが考えることで、私たちの考えることではありません」と。

 

官僚の優秀な頭脳をもってしても、仕組みで「集団浅慮」は防げません。これを防ぐのは結局、個々のリーダーとしてのふるまいとそれを形づくる修練でしかない。何か一つ、リーダーに求められる条件を挙げろと言われれば、私はそれを挙げることにしています。

 

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