成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「60歳代の社長」の半数以上が後継者不在。新たな労使関係の課題。

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厚生労働相が年金積立基金管理運用独立行政法人(GPIF)によるベンチャー企業投資について前向き検討の意向を示したり、「起業」を増やすという政策には、ようやく重い腰が上がり始めたきた様に思います。

 

今政府がやっている成長戦略などが、どの程度マクロ経済の成長に影響を及ぼすかについてはかなり懐疑的なのですが、新たなリーディング企業、リーディング産業が出てこないことには、社会に活力が出てこないのも事実。やり方が問題ではありますが、年金積立基金の運用を自国の産業育成に投じ運用していくことは、あってしかるべきだと思います。

 

ただ同時に、既存企業の再編とバリューアップのためにも、年金積立基金を活用してもらいたいと思うわけです。もちろん全ての企業が存続させていくべき企業というわけではないでしょうが、帝国データバンクの調査では全国の約28万社の65%に後継者がなく、その内社長が60歳代で半分以上の企業に後継者がいないというのは、労使の問題としても看過できない事態ではないでしょうか。厚労大臣ならまずそこに目が行って欲しいところです。

 

もちろん再編やバリューアップが可能な企業が何万社あり、後継者の育成やリクルーティングがどの程度可能かは、調査研究してみないとわからないことだらけだとは思います。ただ、そこには現実に雇用があり、現に動いているビジネスがあるという意味で、ベンチャー育成以上に切実でリアル、しかしながら、やり様によってはベンチャー投資よりも年金運用にフィットしたリスクとリターンの関係を現出することができる可能性があります。

 

後継者育成というところにまで踏み込むには現実にはなかなか難しいでしょうけど、銀行の個人保証などが外れれば、成長・発展の種を持った中小企業を経営してみたいというビジネスパーソンは少なくないはずですし、成長・発展のために業界再編や高度化が必要で、その資金を供給するセクターがあれば、経験を活かしてバリューアップに挑戦してみたいという経営者志向の人材は日本にだって結構いるはずです。そういう資金使途での運用の方が実は資金需要も大きいし、固いリターンも見込める。そして何より現実の雇用が良質になっていくという可能性を秘めているわけです。

 

日本では、IT系、ネット系以外では、民間セクターがシードマネーを殆ど供給しませんから、ベンチャー投資というより、その前段階のシードアクセラレーションに年金基金を使うというのであれば、大した資金量は必要ありませんし大賛成です。しかし、アーリーステージ以降のベンチャー投資には、民間で十分カネが集まりますから、そこに間接的であれ、年金基金を投じるなんていうのは、民業圧迫になりはしないかと考えます。

 

いずれにしても、新厚労大臣には「生きたカネの使い方」で、大切な年金基金運用を検討してもらいたい。できれば、安定的で持続的な労使関係の改善・創出に繋がり、良質な雇用を増やすという方向性で考えてもらいたいものです。それが社会保障を堅固なものにするのは間違いないのですから。

 

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