公式ブログ再開!「日テレ女子アナ内定取消事件」に見る労働紛争の「不可逆性」
ブログ再開、久々の記事投稿です。
10月初旬から「紛争解決手続代理業務試験」の受験資格を得るための「特別研修」を受け、先週11月22日に無事受験を終えました。当初の予定では、この間も若干ペースダウンしながらブログを書き続けるつもりだったのですが、仕事の合間に「特別研修」の課題をこなしていると、とてもブログを書いている様な時間がありませんでした。しかしながら、非常に収穫の多い1ヵ月半でしたので、これから徐々にこの場でお伝えしていこうと考えています。
さてこの間、大きく取り上げられた労働問題としては、「日テレ女子アナ内定取消事件」があります。就活&労働問題解決ブログでも取り上げますが、テレビの民放キー局が、正式に内定通知を出した女子アナウンサーを、銀座のクラブでバイト歴があるというだけで内定取消にしたこの前代未聞の事件が社会に与えたインパクトは大きく、私のところにまで『サンデー毎日』さんからインタビュー取材が入った程です(平成26年11月30日号P139に記事掲載)。
現在係争中で、法解釈として女子学生有利、日テレ不利という見立ては、弁護士、私を含む多くの社会保険労務士の一致するところです。女子学生は地位確認請求をしていますので、原状回復で日テレに入社する可能性もありますが、仮に入社できたとしても、アナウンサーの仕事を全うできるかどうか。元々職種限定の雇用契約など交わしていないでしょうから、日テレが彼女をアナウンサーとして表に出したくないと考えている以上、そしてここまで大騒ぎになった以上、最終的には「人事異動」ということになるのではないかと危惧します。アナウンサーにこだわりがあるのであれば、既にプロダクションから声も掛かっている様ですが、フリーアナウンサーの道に進むしかないかもしれません。
本件は、改めて「労働紛争」「労働問題」が、いかに「不可逆的」な性格を持つものかというのを、世間一般に再認識させた様に思います。
女子学生側の弁護士さんは、かなり丁寧に水面下で日テレ側と交渉していた様です。しかし、結局「内定取消」は表沙汰になり、訴訟に発展してしまいました。
丁度この事件の前後で、既述の様に「特別研修」を受けていましたから、公開で行われる訴訟と違い、非公開の労働局で行われる「あっせん」という裁判外紛争解決手続なら、表沙汰にしないで、行政が第三者として間に入った形の「和解」の道も探れたのではないか(勿論、あっせんの場合、仮に女子学生側が申請しても、日テレがあっせんを受け入れなければ成り立ちませんが…)、少なくともそれが警鐘となって、訴訟沙汰にせずに済んだのではないかとも考えました。
それ以上に、企業側の社労士が、こうした現場の暴走を食い止めるだけのプレゼンスを、企業の人事労務に対してまだ持ちえていないこと、紛争予防機能、リスクマネージャーとしての社労士の役割を改めて考えさせられました。
労働紛争が「不可逆的」であるからこそ、弁護士ではなし得ないことが、日々企業の人事労務に近いポジションにいる社労士にはなし得る。まだ像を結んでいるわけではないですが、これまでにない社労士としてのアプローチの可能性を、この事件をきっかけに考え始めています。
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