成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

伸びる会社は「エンプロイアビリティ」の共創ために「採用」「人事制度」を変革していく。

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労働問題解決ブログの方でも書きましたが、この国の労働政策は「グローバリズム」の下で、「職業教育」をどのセクターが、どう担うのかという根本的な問題を棚上げにしたまま、「職務型(ジョブ型)雇用」へと舵をきっていくことになりそうです。

 

ただし、高等教育機関も公共職業教育機関も劇的に変化するということは考えにくいわけですから、企業側、使用者側としては、急に人事管理を変えるということもできないわけです。「新卒一括採用」や「定年制」という、現在でも主流の「メンバーシップ型雇用」の特徴的な仕組みは直ぐには変えられず、組織内人材育成が「職業教育」の中心にあるという状態もまだ暫くは続くであろうと思います。

 

その一方で、組織によって違いはかなりあると思いますが、高度な専門性やクロスボーダーでの仕事の経験といった部分の重要性が高まる企業などでは、採用の中心を中途採用中心にせざるを得なくなるかもしれません。そして同時に人事制度も、「職能等級」「役割等級」といった「ポテンシャル(潜在能力)」「行動・ふるまい」等、「職務」とは必ずしも直結しない軸で評価する現在の主流から変化させていかなくてならなくなるかもしれません。

 

この両方の要素を、個別組織によって程度の差はありますけど、一つの組織に抱え込んで人事労務管理を実行していかなければならない時代が10年くらいは続くのではないかとみています。

 

そして10年くらい経った時に一番強い組織、人材力で勝る組織になっているためには、どの「職務」にも共通の高業績者の行動特性やビジネス常識は身につけながらも、従来と比較して早い段階で「専門分野」「スペシャリティ」をある程度極めた人材、これを「T字型人材」と言ったりしますが、そういう人を多く揃えていることが求められるのではと思います。これは欧米型とも少し違う人材観、組織観です。

 

問題は、将来的に人材流動性の高まる可能性が高くなるわけですから、こうした人材育成を自社でたっぷりコストを掛けてやっていくということが、困難だということです。目的は「T字型」で、かつ自社にとっても他社にとっても「エンプロイアビリティ」の高い人材の輩出なわけですから、これからはそうした「エンプロイアビリティ」を、会社(使用者)がカネをかけてやる部分と、労使が「共創」してやっていく部分の両方で創り出していく。そういうパラダイムが求められるのではないかと思います。

 

具体的には、企業がコストをかけられない部分は、「柔軟な働き方」を提供しようというわけです。

 

例えば、

①「休職」して大学院に行ったり、留学したり、海外でインターンシップ等で働いた後、「復職」するのを支援する制度、

②取引先その他、社員のスキルアップや技術力アップに繋がる「希望出向」を支援する制度、

② 一旦、退職した社員が再転職する際に、積極的に採用に動く「武者修行」制度、

といった、従来タブーとされていて、実行には問題解決の余地がある様な仕組み。そういう創意工夫が「採用」「人事制度」面で必要になってくるのではないかと考えます。

 

こうしたことへチャレンジしていく企業は、当然労働者にとっても魅力的ですから、良い採用ができる素地もできてくるはずです。タブーにさえメスを入れる勇気が、これからの人事労務管理では最も重要なことかもしれません。

 

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