成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

提訴された厚生労働省認定「若者応援企業」。どうすりゃいいのさ、「ホワイト証明」。

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厚労省が認定した「若者応援企業」のIT会社に就職した24歳の女性が、会社と派遣先を相手取り、賃金や慰謝料など約500万円の支払を求め東京地裁に提訴したという記事を目にしました。いや~、それにしてもほぼ毎週こうした記事が出ますね。

 

情報が少なすぎるので、この訴えそのものについては、まだ提訴段階ですし、コメントするほどのことは何も無いのですが、注目したいのは、厚生労働省の「若者応援企業」というお墨付きです。

 

これは、次の[1]から[7]の基準(宣言基準)をすべて満たすべ中小・中堅企業であれば、「若者応援企業」を宣言できるという制度です。

  • [1] 学卒求人など、若者対象のいわゆる「正社員求人」をハローワークに提出すること
  • [2] 「若者応援企業宣言」の事業目的に賛同していること
  • [3] 以下の就職関連情報を開示していること
    • ・社内教育、キャリアアップ制度等
    • ・過去3年度分の新卒者の採用実績及び定着状況
    • ・過去3年度分の新卒者以外の正規雇用労働者(35歳未満)の採用実績と定着状況
    • ・前年度の有給休暇および育児休業の実績
    • ・前年度の所定外労働時間(月平均)の実績 等
  • [4] 労働関係法令違反を行っていないこと
  • [5] 事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと
  • [6] 新規学卒者の採用内定取消を行っていないこと
  • [7] 都道府県労働局・ハローワークで扱っている助成金の不支給措置を受けていないこと

なるほど、これをクリアしていれば、普通は「真っ黒」ではないと思いますね。しかしこれで「ホワイトだ」とまでは言いきれるかというとそうでもない。

 

今回の提訴の原告代理人弁護士は厚労省が推奨するから若者は信用する。企業の登録はもっと慎重であるべきだ」と話しているそうですが、それはちょっと酷というものだろうと思います。

 

別に自己責任論を振り回すつもりは毛頭ないのですが、「宣言基準」は明確なので、厚労省としては、まさに「お役所仕事」はちゃんとやっているわけです。それ以上でも以下でもない。どちらかと言うと、この宣言を「ホワイト証明」と思い込みすぎることの方が危ういのではないかという気もします。現に厚労省ページでも「ホワイト証明」と誤認させる様な記述はないわけですし。

 

前にも書きましたけど、これからの超人手不足時代では、「採用戦略」として「ホワイト証明」をしようという企業は増えるでしょう。法的責任を負っている専門家としての顧問社労士が、匿名ではなく説明会や選考の場に同席して、就業規則・36協定の選考前開示、労働条件の説明を行い、応募者の質問にも答える。それくらいの仕組みでないと「ホワイト証明」はできないことですけど、“採用感度”の高い企業ならそれくらいやっても不思議ではありません。多少コストが掛かっても、良い人材を採れれば十分元を取ってお釣りのくる話ですから。

 

それ位のものでない限り、「ホワイト証明」にはならないと労使ともに考えておいた方が良いのではないか。私はそう考えています。

 

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