成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「成果主義」「インセンティブ」が日本企業で効きにくい理由。新たな日本型賃金報酬制度とは?

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かつて持て囃された「成果主義」の失敗については、例を挙げるのにきりがないほどですし、それと反対に、「インセンティブ」部分の大きい報酬制度の導入で会社が持続的に成長しているという例は、一部の特殊な業種や職務(例えば訪販の化粧品会社の営業など)以外で、まず目にすることも、耳にすることもありません。

 

カンフル剤として一時的な効果があるものの、持続性に乏しく、上手くやらないと「副作用」が出ることの方が多いかもしれない。その意味では「成果主義」「インセンティブ」は取扱い注意なのですが、即効性があると思ってこれらを賃金報酬制度に導入したがる企業は後を絶ちません。

 

もちろんこうした要素が全くないという企業が良いかというとそうとも言えませんが、そもそもにおいて、「ジョブ型(職務型)雇用」で成り立っている欧米、特にそれがクリアカットなアメリカの報酬管理を、全く異質の「メンバーシップ型雇用」で成り立ってきた日本の企業社会にそのまま持ち込んで、上手く機能するはずもありません。まさに「木に竹を接ぐ」というのはこのことです。

 

そもそも厳格に規定された「職務(ジョブ)」に対して「値札」がついているような雇用は、日本では医師や弁護士の様な高度専門職(それらの職業でも全てがそうだというわけではありませんが…)でもない限り、あまりお目にかかりません。

 

戦後の一時期、日本の一般企業でも財界主導で「ジョブ型(職務型)雇用」を目指していた時期もあった様ですが、元々の「メンバーシップ的共同体」を好む特性に加え、高度経済成長の波に乗った日本企業では、「職能評価(ポテンシャル評価)」、ジョブローテーションによる内部人材育成、終身雇用、年功序列という仕組みの方が上手く機能したために、「メンバーシップ型雇用」をベースに、今日にまで至っているという歴史的背景を軽視することはできません。

 

もちろん「失われた20年」を経て、盛んに喧伝されているグローバリズムの進展とともに、こうした「メンバーシップ型雇用」は徐々に崩れ、変化していくことになるでしょうが、それも一気に全てが変化するわけではありません。現実に「メンバーシップ型雇用」の特徴の最たるものといえる「新卒一括採用」は、これら雇用の歴史を知らぬ浅薄な論者から目の敵にされていますが、3年や5年で消えてなくなる様な風向きでは、今も全くありません。

 

従って賃金報酬制度に話を戻して、「メンバーシップ型雇用」と食い合わせの悪い「成果主義」や「インセンティブ」を組み込んで、経営目標の達成にドライブをかけていこうとするならば、日本企業に持ち込みやすい「設え(しつらえ)」が欠かせないわけです。

 

細かな具体的施策・手法は個別企業毎にに違ってくるので、弊事務所の様な人事制度(評価制度、報酬制度、目標管理制度等)の構築を得意にするファームにご相談頂くのが良いのですが、方向性としては、「成果」の測り方を、「全社」「部門」「個人」などに分割し、その加重平均で算出するという様なことになるでしょうか。もちろん、それをどんな匙加減でやるか。それがノウハウ&ドゥハウなわけですが…。

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