成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「短時間正社員」を生産性向上に活かす。それは組織に「大人」を増やす試金石だ。

f:id:obanasr:20140520100123p:plain

 

昨日労働問題解決ブログの方で「限定正社員」について書いたのですが、今日のネットニュースでは、労働時間を限定した「限定正社員」である短時間正社員が職場で孤立するケースがあるという様な記事が流れていました。

 

確かにご尤もな記事ではあります。「短時間正社員」というのは、労働時間を通常の所定労働時間より短く限定した「限定正社員」ですから、期間の定めのない労働契約で働く点では「正社員」と変わるところがありません。原則、業務内容も責任も「正社員」と同じ。月給の総額は少なくなるにしても、時間換算すれば賃金テーブル上の同一グレードの「正社員」と原則同じ単価になるという働き方です。理には適っているわけですけど、だからこそ理屈通りにいかないのが職場というもので、「短時間正社員」のフォローやカバーをすることになる他の社員から不平不満が必ず出るというのは、何も工夫せずにこの制度を導入した場合の当然に行き着く先なのだと思います。

 

可能な限り仕掛途中の仕事というのを減らすべくスピーディに仕事に取り組む。他の社員が仕事をいつでも引き継げる様に共通プラットフォームを創る。上手くバディ(相棒)を組み合わせるべくマネジメントの仕組みを整える。個人と組織双方のレベルで、「効率化」「標準化」のための「準備」ができていないと、なかなか「短時間正社員」は機能しないだろうと思います。しかしこれらをやることで確実に仕事の生産性はあがりますし、能力のある人が辞めない「退職コスト」の発生防止まで考えたら、普通ある程度の規模、少なくとも30名以上の企業なら、努力より成果の方が大きくなるんじゃないでしょうか?

 

もちろんそれだけ「準備」しても現実には様々な不都合が起きる。その「準備」からこぼれる部分の受け皿をどう作るかが本当のポイントでしょう。これは結論から言うと組織の「大人」比率を高めていくしかない。つまり自分も当事者になる可能性があるから「お互い様」と思える人材を増やしていくということしかないのではないかと思います。

 

記事の中のアンケート調査で、「短時間正社員に見合った人事評価制度があること」というのが、このシステムが機能するための条件として6割近い賛同を得ていました。もちろんそれも大事でしょうが、本当にこうした「短時間正社員」制度を上手く活用するには、むしろ「短時間正社員」以外の社員の評価に、「短時間正社員」のフォロー、サポートを評価する項目を入れた方が効果的です。

 

どんな組織も急に「大人」を増やす魔法は使えません。「大人」になるためには、まず「伝い歩き」から始めるしかない。そのための「手すり」はくらいは、人事制度で設えれば良いのではないかと思います。

 

f:id:obanasr:20140520100123p:plain

いつもお読みいただきありがとうございます。

たくさんの方に読んで頂きたいので、

 ↓ のクリックをお願いします。

にほんブログ村 士業ブログ 社会保険労務士(社労士)へ

にほんブログ村