成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

労働紛争における「あっせん等」は使用者側(企業側)の「フェイルセーフ」。

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「紛争解決手続代理業務試験」の合格を社会保険労務士名簿に付記された「特定社会保険労務士」は既に1万人を超えています。しかし、企業側、使用者側でのみ仕事をする社労士であれば、その殆どが、個別労働関係紛争の裁判外紛争解決手続、所謂「あっせん等」の代理を手掛けていないというのが現状でしょう。

 

なぜなら、現状「あっせん等」の申し立ては殆どが「労働者側」によるものであり、積極的に「労働者側」で「あっせん等」の代理業務を行うことを表明している少数派の社労士がそれらを受任することはあっても、そうした社労士以外のいわばマジョリティである普通の社労士は、たまたま顧問先・関与先が労働者から「あっせん等」を申し立てられ、それに応じるというレアケースでしか、「あっせん等」に関わる機会がないからです。

 

勿論、「あっせん等」は使用者側(企業側)からも申し立てることができますし、各都道府県社労士会も連合会も「使用者側(企業側)からの申し立て」を歓迎しているわけですが、それらのHP等を見る限り、基本的な建付けとしては「労働者側からの申し立て」を想定しています。

 

しかし、このコミュニケーションって、本当に正しいんでしょうか?

 

労働紛争の解決方法は、

労務管理による予防

②労使当事者の話し合いによる解決

③「あっせん等」による解決

④「労働審判」による解決

⑤「訴訟」による解決

概ねこの5つに大別されます。

 

もちろん①②で収まれば、労使共に貴重な時間の空費と精神的疲弊を回避できるわけですが、当事者だけで埒が明かない場合、③~⑤の第三者が関与する紛争解決手続に入っていくことになります。ここでまともな顧問弁護士がついている企業・法人等であれば、労働者側から「あっせん等」の申し立てがあれば、基本的には応じる様にして下さいとアドバイスを受けていることが多い筈です。これは実際に、多くの弁護士さんからお聞きします。

 

自らの弁護士報酬の算盤をひとまず横に置いて、顧問先、依頼人の利益を考えれば、紛争解決に要する期間も、また解決金の金額も、③は④の何分の一かで済みますし、③と⑤の比較では十分の一ということさえ珍しくありません。少なくとも使用者側から見れば、③で解決できるにこしたことはないわけです。

 

ですから、厚労省は兎も角、都道府県社労士会や連合会が、世の中に向けて労働紛争における「あっせん等」の活用を広め、社労士の業務拡大を企図するなら、「あっせん等」は「使用者側(企業側)のフェイルセーフ」であると定義することから始めるべきでしょう。

 

そして、

コンプライアンスに対して意識が高い、又は意識を高めざるを得ない企業・法人

②労働紛争が一定頻度で発生し、リスクマネジメントを経営課題と考える企業・法人

③中堅企業以上の規模の企業

といった使用者側ターゲットを設定して訴求する方が、現状よりはるかにインパクトが強く、労働紛争における「あっせん等」の活用の認知を高めて、中長期で見れば、使用者側に有形無形の多大な恩恵をもたらすことになるはずです。

 

「フェイルセーフ」とは、システム等に誤作動が生じた場合に安全に制御する機能とか仕組みを言います。

 

「使用者側に有形無形の多大な恩恵」と書きましたけど、これは、一定の支出を覚悟すれば、想定外の多大な支出が抑制でき、時間もロスしないで済むというだけの意味ではありません。訴訟等では労働紛争は「公開」されるわけですけど、「あっせん等」は「非公開」です。在籍社員への影響、将来の採用に及ぼすダメージ、そうした事を考え併せて、使用者側に「多大な恩恵」があるのは間違いありません。

 

労働者側から見た「あっせん等」には、正直メリットもデメリットもありますから、活用するしないはケース・バイ・ケースでしょう。ですけど使用者側から見た場合、デメリットというのは極めて少ないのが「あっせん等」の特徴です。「リスクがあっても、びた一文払わない」というスタンスの使用者を除いて、正しくマーケティングすれば、耳を傾てもらえると思うのですが…。

 

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