成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

超人手不足時代の「採用力向上プロジェクト」(3) ~労使関係のデザインにどう踏み込むか~

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これまでが「人余り」時代であっただけのことで、一度「人手不足」となれば、採用はもはや営業と同じく、戦略、戦術を駆使して臨まなければならない修羅場と化します。

 

当たり前ですが、採用する側に、入社して働いてもらうための「魅力」がなくてはどうにもならない。かと言って際限なく金銭報酬を高めることはできないわけですから、どう働いてもらい、どういう成果を出してもらうかだけでなく、採用側はそれに対して金銭報酬以外のどういう報い方ができるかを、真剣に掘り下げる時代が到来しつつあると思います。

 

そのアプローチには大きく分けて二つあると思います。

 

一つは幸いにして仕事そのものがユニークでわかりやすく、面白そうに見えるケースです。この場合はそれだけで人材採用は随分楽になります。私は2005年に中国に内装資材の生産工場を持ち、そのローコスト資材を日本に輸入して、成長途上の外食やサービス業のチェーン店展開を開発面でサポートしていく企業で取締役管理本部長をしていて、2006年の新卒採用を担当しましたが、この時は新卒初年度ながら非常に恵まれた採用ができました。デザイン部門コンサルティング営業部門を併せて優秀な学生が4000名以上エントリーしてくれ、その中から15名程の内定者を出せば良かったわけですから、まだ無名のベンチャー企業の新卒採用ながら、本当に奇跡的に良い人材との巡り合いを得ることができました。これは与えられた条件次第ですが、「仕事そのもののユニークさ」「面白さ」を訴求できる場合は、そこに最大限のスポットを当てた方が良いという知見をこの時に得たと思っています。世の中、大手企業志向の人間ばかりではありませんから、それで十分勝負になるのです。

 

しかしそうした恵まれたケースでない場合は、結局「どういう労使関係」「どういうキャリア形成軸」を提供できるかで勝負するのが、一番効果的ではないかと思います。終身雇用をあからさまに否定するわけではないけれども、「転職してキャリアデザインしていくのに有利な会社」「グループ内起業やのれん分け歓迎の企業」など、世の中には少数派ながらそうした組織があります。そしてそれらの多くはやはり業績が良く、結果として「人材輩出企業」としても、世の中から一目置かれています。

 

私はこの後者のアプローチが「採用ブランド」を「持たざる者」が採用活動に成功し、やがて「採用ブランド」を築くことができる唯一の道筋ではないか。そう思っています。

 

もちろんこれを実行するのは、容易ではありません。人事評価制度、賃金報酬制度をはじめ、こうした採用に舵を切るには「組織変革」が必要です。現時点で組織内にいる役員、従業員にも大きな変化を求めることになる。摩擦は必至です。しかしそれでも未来のためにそれをやらねばならないと決断し、何年も実行し続けていけるかどうか。これが問われます。

 

結局「採用ブランド」を創ることは、「組織変革」をすることになる。その成否は多くの場合「テクニック」ではなく、「覚悟」の問題ということになるのです。

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