「退職給付」はどうあるべきか。求めるワークスタイルとシンクロしてますか?
今日は「賃金後払い」の性格を持つ「退職給付」のあり方について。
私が以前に管理部長を務めた企業では、私の転職前から「確定拠出年金」をやっていました。私は、その事務処理の大変さと、関与する金融機関の手数料等を考えると、全くメリットがないから止めるべきだと、即時に進言した覚えがあります。私の提案は、事務処理が楽で、退職後直ぐに受け取ることのできる「中退共」や「特退共」に変更すべしというものでしたが、結局私が退職すまでに変えるという判断は下りませんでした。
実は進言の理由は、単に事務処理量やフィーだけではありませんでした。人的資源管理、特に報酬管理上も大いに問題があったからでした。終身雇用ガチガチの会社ならまだしも、社歴は長いとはいえ結構入退社が多く、当時その会社は上場を目指していて、旧来のぬるま湯組織を成長意欲の高い組織に作りかえる必要がありましたから、60歳を超えてからしか受けと取れない様な「退職給付」とも言えない「確定拠出年金」では、優秀な人材を中途採用するための武器、フリンジベネフィットにも何にもならなかったからです。
もちろん報酬管理の様な外発的事象だけでモチベーションの高い人材が採用できるわけではありません。しかし内発的な動機づけのプロセスにも、もちろん「給与の満足度」は大きく関わります。従って成長にドライブをかけていかなければいけない組織の賃金カーブというのは、以前も書きましたが、基本的には「逆S字カーブ」であるべきです。その観点から言えば、頑張らなくても長く勤めれば得られる「確定拠出年金」の様な無駄な賃金後払いは止め、退職給付は退職時に受け取ることもできる「中退共」「特退共」の様なものをセーフティネット的に組み込む。そのかわり「給与水準」そのものを高める方が、はるかに成長志向の組織にはフィットします。
あまり軍隊に準えるのは良くないかもしれませんが、「戦略」が明確で「戦術」理解度やその実行性が高ければ、「兵卒」「下士官」「士官」「将軍」という順に年齢が高くなり、必要人数が急速に少なくなって行っても、強力な戦う集団を作ることはできます。ですから「兵卒」や「下士官」の報酬は他の組織より高いけれど、「士官」や「将軍」のそれはそんなに高くなくても良いのです。高い報酬を望むなら、プロ経営者としてスカウトされてEXITしてもらっても結構。そんなに多くの「士官」「将軍」は要らないのですから。
もちろんグローバルスタンダードは、日産の様に経営トップが10億円もの役員報酬を取るきついヒエラルキーの組織なんでしょうけど、それは「出来上がった組織」の話です。少なくとも「これからの成長しようという組織」では通用しませんし、日本の風土においては尚更フィットしないものです。
この様に、どんなワークスタイルを役員・従業員に求めるかは、企業のステージによっても異なります。そしてそれによってフイットした報酬管理というものがある。その中で、「退職給付」についても考えていく必要があります。唯一無二のソリューションというのはないと考えておいた方が良いと思います。
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