成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「ヘッドハンティング」好き経営者に持続的成長は難しい?

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ベンチャーや中堅企業への脱皮を目指す企業など、成長意欲の高い企業の経営者は総じて「中途採用」好きです。それ自体はもちろん悪いことではありません。5年後、10年後の自社のあり様をイメージすることもなく、採用にもカネをかけないで、現状維持のつもりが気が付けば「茹で蛙」というよりはずっと良い。大企業でないからこそ、事業発展のステージに合わせて適切な人材の手当を「時間を買ってでも」しなければいけないし、いずれ新卒に採用の重点を移すにしても、ミドルマネジメントがいなければ人材育成もできないわけですから…。

 

しかし「中途採用」好きの経営者の中でも、エグゼクティブ人材のヘッドハンティングにしゃかりきになるタイプの経営者は、固定報酬を伴うリテイナー契約のヘッドハンティング会社から見れば「上得意」ですが、人材マネジメントという観点から言えば問題が多い。企業を持続的に成長させるのが難しいタイプの経営者だと言えます。何故だかおわかりになりますか?

 

エグゼクティブ人材を外部に求める経営者を類型化すると、

①経営者が創業者なら、ずっと「ワントップ」で「俺が俺が」のマイクロマネジメント好きのため、頼りになるパートナーがいない、

②経営者が2代目、3代目ならオーナシップが強すぎて、「腹心の部下」はいても「肝胆相照らす役員」がいない、

③「青い鳥」を求めて次から次に「ヘッドハンティング」するが誰も定着しない、

という、大体三つくらいなるのではと思います。

 

そして彼らの内何割かは、アメリカ留学の経験者であったり、日本国内で他人の飯を喰った経験が浅かったりするので、スペックを決め、報酬さえ出せば、外部労働市場からどんな人材も採用できると思いこんでいます。しかし事はそう単純ではありません。米国の様に「職務ベース」の外部労働市場が大きく流動性も高ければ別ですが、日本国内では一部の専門家を除いて、人事評価も人材育成も個別企業毎の「能力開発ベース」で設計され、厳密な意味での「職務遂行能力」の一般評価基準というものがない。そのため、多少流動性が高まったところでジャストフィットの人材に出会うということが元々難しいわけです。そこで当然ある程度のアジャストが必要になるわけですが、トップマネジメントが①②③の様な人達ですから、それがなかなかできません。

 

私は過去の経験から、日本国内に関する限り、経営革新や組織変革の過程で、成功報酬型の人材紹介会社を使ってミドルマネジメントレベルの人材を、ある程度の調整期間が必要なものと考えて中途採用することには、有効性があると思っています。しかし、リテイナーフィーまで払ってサーチ会社、ヘッドハンティング会社を使いエグゼクティブを採用する意味は、余程差し迫った事情のあるケース以外ではないと思います。どうせ使いこなせないんですから…。

 

では持続的成長企業になるための人材マネジメントに不向きな経営者はどうすべきなんでしょう?

 

これの答えは三つ。一つはいきなり生え抜きというのはハードルが高いですし、時間もかかり過ぎますから、ミドルマネジメントで中途採用した人材を我慢して育てててエグゼクティブにするか、中々難しいですが多少の事は目をつぶってヘッドハンティングしたエグゼクティブを使いこなすべく努力する。後の選択肢は、会社を売却するか、ダウンサイジングして経営するの二つでしょう。

 

意外と知られていませんが、中途採用という人材マネジメントの中の一つのアクションだけでも、会社の行く末、進むべき方向性のリトマス試験紙になります。経営に占める人材マネジメントの重さを象徴するトピックと言えるかもしれません。

 

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