成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「儲かり続ける組織」はボトムアップで事業を興し、撤退をトップが決める。

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成長志向の強い企業のトップマネジメントは、組織が活性化していて瑞々しく、新しいビジネスがどんどん芽吹くという状況を望むわけですが、自らの存在がそれを邪魔していることがあるということにあまり気付きません。今日はそのお話です。

 

昨年他界されたリクルート創業者の江副浩正氏は著書で、事業経営の要諦として「起業はボトムアップで、撤退トップダウンで」という言葉を残しています。 私は自分が成長途上にある企業の経営企画や管理部門の責任者として仕事したことから、自らの属する組織だけでなく、その周りの戦略パートナーやコンペティターの経営者を観察する機会を多く得ました。そして実感したのは、成長志向のトップマネジメントというのは10人いれば9人まで、この江副氏の言葉の反対をやってしまうということです。

 

特にベンチャー起業家は、一芸に秀でた人が多く、その芸が起業の原点になりますから、シードやスタートアップの段階では当然「起業もトップダウン」で良いのですが、事業が立ち上げ段階を抜けて、そのドメインで確固たる展開が可能になり、二の矢、三の矢を繰り出さないといけない段階になっても、そのスタイルを変えようとはしない。しかし、どんな起業家にも連戦連勝はなく、アイデアは枯渇するものです。従ってベンチャー企業には必ず「成長の踊り場」が訪れます。そこに至って、「どうしてウチの会社は、中からアイデアが出てこないんだ」という思いが湧き上がって、苛立つ起業家も少なくない。そして最後は「どうせオレ(ワタシ)以外はこの会社の成長なんか考えていない。他の人間は経営者じゃないんだから」という理路で自分を納得させてしまう。だから脱皮が一層難しくなるわけです。

 

しかし仮にシェア100%のオーナー会社であっても、オーナー社長以外の役員や従業員が、属している組織の行く末をはじめから何も考えないという様なことはありません。そうなってしまうとしたら、その原因の殆どはトップマネジメントの「振る舞い」にあると考えるのが妥当でしょう。

 

トップマネジメントの「振る舞い」は、多分にリーダーシップのとり方の問題として議論されます。江副氏が事業経営の要諦として掲げた「起業はボトムアップで、撤退トップダウンで」という言葉は、まさににそれについて言及したものと言って良いと思います。そしてその言葉は彼の実体験に裏打ちされたものだった筈です。

 

リクルートという企業の中核的なビジネスモデルである「情報誌モデル」は、大学新聞の広告代理店で立ち上がった後、今日のリクナビの源流であるリクルートブックのさらに前身である『企業への招待』を、江副氏自身が周囲の反対を押し切って始め、ヒットさせたのが基礎になっています。ただその後は、課題や方向性だけを江副氏が示し、優れた役員や能力のあるメンバーすなわちフォロワーに権限移譲して、それを事業化するという流れができて、中途採用・アルバイト等の求人市場領域の拡大、住宅・中古車・トラベル・本・ウェディング・飲食送客など他市場への「情報誌モデル」の水平展開を果たした。自らの陣頭指揮という形を取らず、「起業はボトムアップで、撤退トップダウンで」を貫き、芽吹いた事業の成長を支援し、実らない事業からの撤退を決断するリーダーシップが一番効率が良い。そういう確信がそこから生まれたのだと思います。

 

もちろん事業は様々です。事業によって組織行動の具体的な形は変化します。但し、組織行動の原理自体はそう大きくは変わらない。勿論、賃金報酬も人事労務管理の重要な要素ですが、「誰かから認められたい」という「承認欲求」が伴わなければ、持続的に個人のモチベーションを高めていくことも、組織の士気も上げることもできません。

 

その意味で、「儲かり続ける組織」であるために、トップマネジメントがボトムアップ事業を興すのを支援し、事業の存続・撤退に関してはフォロワーに責任や判断を委ねないで自ら判断する。アグレッシブな経営者が往々にしてその逆をやり、成長力を殺ぐいでしまう愚をおかさない。それは、大変説得力のある経営の要諦であると私は思います。

 

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