成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「新卒採用ブランド」の創り方

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もう10年近く就活人気企業になっているホテル・レストラン・ウェディング・バンケット運営のプランドゥシーという会社があります。

 

2005年当時、私は業務用家具メーカー兼チェーン店に特化した店舗内装業で急成長していたベンチャー企業の取締役管理本部長をしていて、2006年卒の新卒採用を手掛けていましたが、その当時からプランドゥシーはベンチマークしていた企業でした。実際、私の居た企業にエントリーしてくる学生の中には、インテリアデザインを学んでいる人を中心にプランドゥシーを志望する学生が大変多かったのを覚えています。

 

当時はそんな言葉は広まっていませんでしたが、ホテル・レストラン業界なんて言うのはどちらかと言うと、今日的な「ブラック企業」が輩出されやすい、給料を含め決して労働条件が良いとは言えない業界です。それでも工夫と覚悟があれば、「新卒採用ブランド」を創ることができるということを証明してきた企業。その一つが、プランドゥシーだと思います。

 

正直言って、斬新なビジネスモデルをたまに編み出す企業よりも、一般的な知名度はそんなに高くはないけれども、就活生なら殆どが知っていて、毎年業界レベルをはるかに超える人材を採用できる企業の方が確実に成長します。別に新しいものはないけれど、いつの時代も需要があるシュリンクのしにくい分野で、競合よりも圧倒的にレベルの高いサービスを提供したり、コミュニケーションを含め顧客利便性や顧客満足度を高めたりすることで抜きに出る。これらは殆ど「ヒト」に起因するものですけど、そこには紛れがありません。「新卒採用ブランド」というのは、ある程度の投資と覚悟なければ創れないものですが、非常にレバレッジをかけやすい「見えざる資産」「見えざる経営資源」でもあります。

 

基本的に、新卒採用は「量が質を生む」世界です。プランドゥシーの新卒採用では、エントリー数が3万人、説明会1万8000人が集まり、この中から20名前後の採用者を毎年出すのだそうですが、既述の私が担当した業務用家具メーカー&店舗内装会社の2006年新卒採用時で、エントリー数4000人、説明会参加700人で、10名前後の内定者という選考でも、ある程度レベルの高い採用ができましたから、プランドゥシーの場合、業界ではダントツ、異業種を入れても国内でトップ100に入る位の採用レベルであろうと思います。

 

それ程までに何が就活生を惹きつけるのか。既述の様に、業界的なアドバンテージはあまりありません。オープンにされているプランドゥシーの組織運営方針で言えば、

①社長を含め4階層のフラットな組織設計、

②正社員の1割程度を毎年海外研修へ派遣、

③主要人材の希望による1年程度の海外勤務派遣、

④労使が納得いくまで話し合って決める目標管理制度、

⑤直属以外の他部門責任者も参加する90°~180°の人事考課、

⑥月間労働時間200時間以内を目指した労働時間管理、

⑦ホテル・レストラン・エンターテインメントの調査費一部負担、

などがあって、企業規模に比してしっかりとしたマネジメントがなされているとは思いますが、どこにもない様な凄い施策、「必殺技」が導入されているわけでもありません。

 

つまりは「そうありたい」と労使ともに思うことを、できる範囲内で少しずつ形にしてきた結果、魅力的で活き活きとした人材が輩出され、その人材がまた新しい優れた人材を惹きつける。そういうポジティブ・フィードバックが起こって「新卒採用ブランド」が創られてきているわけです。

 

業界によっても、またどの程度を目指すかによっても違ってくるでしょうか、できることから今すぐ始めれば、山登りの様に、いずれ確実にできてくるのが「新卒採用ブランド」です。

 

その意味では中長期的な投資とリターンの関係で、これほど確実な投資はないのですが、一歩踏み出さなければ、社歴が仮に50年あろうが100年あろうが、永遠に手に入れることができないもの。それこそが「新卒採用ブランド」の本質であると思います。

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