成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「研修好きな企業」と「研修嫌いな企業」の間

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1年数ヵ月ぶりにブログを再開します。

 

リクルートグループ(リクルートコスモス、現コスモスイニシア)に学び、ITベンチャー・急成長メーカー(業務用家具・建具)・創業100年超の長寿専門商社等で試した人事労務管理や組織活性化のエッセンスを、「儲かり続ける組織づくり」を支援する社会保険労務士として再編集し、なるべく具体的な話にしてお届けしていこうと考えています。どうぞよろしくお願い致します。

 

さて、再開第一回目の投稿は「研修」について。

 

世の中には、とても「研修好きな企業」とあまり「研修が好きでない企業」があります。「中小零細に研修も何もないだろう」とか、「それは大企業の話だろう」という方もあるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。私の知る限り、従業員10名に満たないながら、とても「研修好きな企業」がある一方、「法律上の中小企業」を超える規模であるけれども、OJTあるのみ、殆ど研修らしい研修をやらないという「研修嫌いな企業」も少なからずあります。

 

結論から先に言ってしまいますけど、「研修好きな企業」も「研修嫌いな企業」も、どちらも度が過ぎると、先々会社の成長・発展に暗雲が立ち込めるだろうと思います。

 

度が過ぎた「研修嫌いな企業」の将来が明るくないというのは、直感的に、何となく腑に落ちるという人が多いかも知れません。営業部門などでは一般的に「座学」⇒「ロープレ」⇒「OJT」という研修体系を設計しますが、これは効率を考えれば当然のことで、商品知識や定石、基本的なアプローチの「型」を「座学」や「ロープレ」もなく、いきなり「OJT」でやろうとすれば、教わる側のインプットも教える側のアウトプットも消化不良になり、結局「物覚えが良い」とか「センスのある」人材だけしか戦力化できないことになります。そして中長期で見れば、総額人件費の膨張か、「退職コスト(ある人材を採用し、一定期間雇用した後退職。退職した人間の後任を採用し、穴埋めができるようになるまでの採用費と人件費の総計)」の積み上がりという形で企業にダメージを与えます。それだけで済めば良いのですが、総額人件費や「退職コスト」が企業全体のコストを圧迫するが故に、少数の「物覚えが良い」「センスのある」ハイパフォーマンス人材を十分な報酬で処遇できず、彼らも定着しないという、目も当られない事態を引き起こしてしまいます。ネガティブ・フィードバックに入っていくことになるわけですね。

 

では度を超えた「研修好きな企業」が何故ダメか?もちろん多くの人材に一定の効果のある体系的な研修を施すことはマイナスではないのですが、往々にしてこの種の企業は、研修の効果を過信し、採用活動に予算を投じず、言葉は悪いですが「兵隊」を採用して戦場に送り出すことに必死になるがあまり、将来一定数必要な「士官」となって部隊(支店や部課)や全軍(全社)を指揮できる様な、ポテンシャルの高い人材の採用と育成を疎かにしがちです(採用にも研修にもカネも手間もかけないけど、儲けたいねんという場合は、ダウンサイジングという手しかありません。いすれ終わりは来ますけど…)。オーナーシップの強い会社に多いパターンですが、「士官」がいないわけですから、成長・拡大を諦めて適当なところで妥協するか、オーナーが強権発動して、成長・拡大のために外部から「士官」をスカウトするという手に出るか、やがていすれかを選択することになります。オーナーの剛腕でアパレル製造小売(SPA)超大手になった某社は後者を選択したわけですが、しかし組織はヒトが創るものですから、これがなかなか上手く機能しません。その某社が後継者問題で今でも揺れ動く原因は、まさにそこにあります。

 

私はこのテーマを想起する時、昔一緒に仕事をしたことのある、ある電通マンの言葉を思い出します。彼は本当に優秀な広告マンで、「広告で『売れないモノ』を売ることはできない。広告にできるのは『売れるモノ』をもっと売れるようにすることだ」が口癖でした。「研修」も「広告」に似ています。

 

予算も手間も投じ、でき得る限りの採用活動をやって獲得した貴重な人材に、現場の力をあまり殺がない様に配慮しながら協力を取り付け、次代の仕込みのために、適度で的確な「研修システム」を作る。そしてそのシステムを経た人間の内、次代の経営層に育ってもらいたい人材には、権限を与え責任を課して、「クラウン・プリンス」として子会社や支店、特定の事業の運営を任せるというのが、最も効果的な人材育成法ではないか。人材育成の上手い企業をいろいろ見てきて、私はそう思います。

 

だから本当に将来伸びる会社とは、「研修好きな企業」と「研修嫌いな企業」の間にある。「研修」に関してはこれを持論としています。

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