成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

36協定違反企業の行政指導時の企業名公表のインパクト。労使関係のデザインはいつもここから。

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ネットニュースでは、ほぼ毎週何らかの大きな労働問題が報じられます。

 

昔の様にマスメディア中心の時代であれば、他のニュースの陰に隠れてそれほど注目されなかったかもしれない労働問題関連のトピックが、今や瞬時に、しかも自身の職業生活に密接に関係のある話として瞬く間に拡散していきます。

 

最近で言えば、千葉市の棚卸業務代行業でJASDAQ上場企業である「株式会社エイジス」が、違法な長時間労働で労基署から是正勧告される際に企業名を公表される新基準の第一号となった件が、インパクトの大きいトピックといえるでしょう。

 

この新基準、正確には「違法な長時間労働が悪質で」「複数の都道府県に事業所を持つ大企業が」「組織的に月100時間超の残業をさせている」と見られれば、是正勧告の際、社名を公表するというものです。

 

今回の株式会社エイジスの件では、日経を除き、大手新聞各社の記事は「月100時間超」の残業をさせ、事業所要件に該当すれば、自動的に企業名公表がなされるかの様に誤解をおこさせる表現でしたが、「月100時間超」の残業そのものは新基準に言う「違法な長時間労働」とイコールではありません。新基準の「違法な長時間労働」とは「36協定違反の長時労働」を意味します。

 

従って、いわゆる「過労死ライン」を意識することは要請されますし、それを超える長時間労働には大いに問題があるものの、現状では36協定違反さえしていなければ、仮に「複数の都道府県に事業所を持つ大企業が」「組織的に月100時間超の残業をさせて」いても、この企業名公表の対象になることはないというのが、今のところの正確な理解でしょう。

 

ですから、今後も続々と「株式会社エイジス」のような企業が出てくるとは考えにくいのですが、今回の件がある程度のアナウンスメント効果を発揮するのは間違いなさそうです。

 

少なくとも上場企業や、IPOを計画する企業に関しては、労働時間管理の厳格化を推し進めていくことになるでしょう。中小零細は兎も角、まずは既に社会の公器である営利企業と、社会の公器になろうとする営利企業から 変わって行ってもらうことは、とても重要です。

 

企業の成長と労働者の幸福が両立する労使関係のデザインというのは、残業や生産性の問題であれ、ワークライフバランスの問題であれ、常に労働時間管理を「一丁目一番地」として始まります。

 

いわゆる「かとく(過重労働撲滅特別対策班)」が東京労働局と大阪労働局に設置された際も、スケープゴートにされる企業にはお気の毒な部分を感じましたが、上場企業やIPO準備企業に、適切で有益な労働時間管理を率先垂範してもらい、その裾野を広げるには、やはりこうした行政上のアクションにならざるを得ないのだろうと感じています。

 

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