成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「内定式」から「入社」まででやるべき労使コミュニケーション。「スキル・パス」の見える化について。

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昨日は全国的に「内定式」という法人組織が多かったと思います。使用者側が「内定通知」を出し、それまで「内々定者」であった新卒予定者が「承諾書」等を提出すると、原則として「(就労)始期付解約権留保付労働契約」の成立です。

 

「始期付」は学校を卒業して入社できる時期という理解が普通にできるでしょうけど、「解約権留保付」というのは誤解が無い様に申し上げておくと、使用者側がいつでも「内定取り消し」できるのという意味ではありません。「内定後」は労働契約を締結していることになるわけですから、基本的に「内定取り消し」は「解雇」ということに法律上なります。ですから「解雇権濫用法理」によって「客観的合理性」「社会的相当性」の両方がないとできないと考えておかなければなりません。

 

原則「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できない様な事実であって、これを理由として取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的で社会通念上相当として是認できるものに限られる」とされていますから、新卒者が卒業できない、新卒者が業務に堪えられないほどの健康悪化状態になる、新卒者が逮捕処分になるといった特殊なケースしか「解約権」は行使できないと考えておくべきです。

 

使用者側としては重い責任を負うわけですから、一方で「戦力化」のためのプログラムも準備しておきたいところです。

 

人材育成に割ける予算も時間も昔に比べると限られていますから、この入社までの時期はどんどん重要になっていると思います。中身は企業毎に違うと思いますけど、企業風土の理解は当然ながら、今後は中長期わたってOJT以外で習得すべきスキルの道筋、すなわち「スキル・パス」の見える化が大切になるのではないかと思います。

 

基本的には、今しばらく日本企業の雇用は「メンバーシップ型」をベースにしていくことになるでしょうけど、これから「職務型」雇用管理も進んでいかざるを得ない。そうなった時、公共職業訓練もプロフェッショナルスクールも十分に機能していないこの国では、「自己啓発」しか道がない。ですからせめてその「海図」を示すことは使用者側の責務として重要だと考えます。

 

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