成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

手段としてのIPO(株式公開)と社労士の役割。ガバナンスの確立が成長と幸福を招く。

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先日高校の同窓会で会った同級生の公認会計士から最近のIPO(株式公開)準備の動向を聞く機会がありました。またぞろ証券会社主導で出鱈目なIPOブームが起きそうな匂いがプンプンします。

 

IPOは当然市場からの資金調達が主たる目的ですから、そのファイナンス面に注目が集まりがちですが、同時にIPOによって投資家への責任が問われることになります。それは、ガバナンスの問題を中心に、実際の組織としての行動に大きく影響を与えますが、意外に見過ごされがちです。IPOで重要な役割を果たす主幹事証券会社も監査法人も形式的なガバナンスについてはチェックしますけど、それが実際に機能するかどうかというところまではあまり踏み込みません。特にIPOに対して証券取引所も証券会社も緩く対応する様な時期には、それがさらにあまくなります。これは株式公開準備を責任者として三度経験した実感でもあります。

 

ガバナンスの問題は、会社が不測の事態に陥った際でも従前通り機能するかどうか、そこで真価が問われるわけですが、それををいい加減なチェックでくぐり抜けた企業は、後で大きなツケを払わされることになります。新興株式市場の上場企業でその後上場廃止等に陥る会社の何割かは、ガバナンスに大きな問題を抱えています。

 

その一方、トップマネジメントの急死という様なピンチを乗りきって成長を続ける企業というのもあります。ソフトや本のレンタル・リサイクル・販売のゲオホールディングスなどはその典型例で、2004年に創業オーナー社長が事故死した後も、紆余曲折がありながらも、積極的なM&Aなどで東証1部上場を維持しています。最近ではクボタの現役トップ急死のニュースが流れましたが、そうした事態に影響を最小限に抑え、変わらぬ成長を遂げられるか否かが上場企業には求められており、そこで最も重要なのが「ガバナンス」なわけです。極論すればそれは、「明日から社長が交代しても大過なくこれまで通りにやっていける運営システム」ということです。

 

「オーナーシップ」によるマネジメントが染みついている企業では、一見ガバナンスが効いている様に見えても、トップが一度不在となれば、組織は一気に瓦解に向かいます。しかし、「ルール」によるマネジメントがある程度浸透していると、不備が多少あっても、「ルール」が会社を動かしますから、たちまちに企業が立ち行かなくなるということはありません。

 

つまりは、IPOを契機に「ルール」によるマネジメントが浸透して、それでガバナンスができている企業では、トップ交代くらいで簡単に揺らぐことはありませんが、それが有名無実なら、オーナーシップが強ければ強いほど、その組織の寿命は短命に終わるということです。

 

もちろん長寿のオーナー企業というのも沢山あります。しかしそれは上場とは全く無縁のマネジメントスタイル、基本的に身の丈を出ない経営、極論すれば「永遠の商店経営」によって生き延びているのであって、成長志向と相容れません。それそのものはもちろん経営の選択肢としてありなのですが、この場合、必ず創業家から「後継者」が出てくるということが成立のための必須条件になります。

 

「後継者」が必ず出てくるとは限らないということを前提にするならば、企業の持続的成長によって、従業員を含むステークホルダーが幸せになるための手段として、いまだIPOには有効性があると私は思います。そしてIPO準備に、単に労務コンプアイアンスのチェッッカーというより、ガバナンス構築のプロフェッショナルとして社労士が関われる余地がまだまだあるのではないかとも考えています。

 

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