「退職コスト」再考。超人手不足時代の「できる経営者」は、まず組織の「保全」「再起動」に注力する。
何度か書いていますが、日本企業の特徴として総じて、「採用費」という財務会計上のコストは頭にあっても、「退職コスト」という管理会計上の概念に対しては意識が希薄です。
人材採用にコストをかけることにはシビアながら、人が辞めていくことには鈍感で「仕方ない」と諦めている企業も少なくありません。ですがある程度の期間、特定の職務に従事し、熟練してパフォーマンスを出してもらわないと、純粋な労働の対価以上に支払うコストがかさむというのが人の出入り多い企業の特徴で、結果的に割高な人件費を支払うことになります。
これが「採用ブランド」のある企業で、キャッシュリッチであれば、辞めた人より後任の人材の方が高いパフォーマンスを発揮する事も多く、期待値に届かない人材に払った労働の対価以上のコストも「サンクコスト(埋没費用)」と割り切って、むしろ新陳代謝の良い組織づくりをするという手も、あながち間違いではないかもしれません。
しかし、中小企業やベンチャーのトップマネジメントがこういう判断をしていたら大問題です。特にこれからの超人手不足時代では、退職者にかけたコストだけでなく、同じく「退職コスト」に含まれる採用のためのコスト(採用媒体費用、人材紹介料など)も増大していく傾向にありますから、アベレージ以上の人材なら、他社に採られて辞めないように、どう「保全」するかにむしろ注力しなければいけません。さらに言えば、そうした人材を「再起動」させてどう組織のレベルアップを図るか。「できる経営者」はこの機会にそこまで視野に入れているでしょう。
そしてそうした努力、環境整備が徐々にではありますが「採用力」を高めていきます。活き活きと働く人が多く集まる会社には、優秀な人材を集める「磁場」ができる。これは今も昔も変わらぬ法則です。
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