成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

ワタミの再生は至難の業。社長が「労使関係は基本的に存在しない」という発言するようでは…。

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ワタミ桑原豊社長への東洋経済のインタビュー記事を見て、正直この人がトップではワタミの再生は難しいと感じました。

 

私はアンチ・ワタミではなくて、「和民」はあまり使ったことがありませんけど、焼き鳥業態の「炭旬」などはどちらかというと好きですし、素材も安心して口にできると思いますから、むしろ是非V字回復して欲しい会社なのですが、まずはエグゼクティブ改革から着手しないとそれも難しい様に思います。

 

現在の超人手不足環境下に、新入社員の過労自殺の対応の悪さを通じて定着してしまった「ブラック企業」イメージという追い打ちを払拭するには、強力かつ戦略的な人事労務施策が求められるにもかかわらず、インタビュアーの「根本的に批判をはね返すには、労働組合を認めるくらいのことが必要では?」の問いに、「組合は認める認めないというよりも、経営側決めることではないと思っている」という法律通りの前置きをしつつも、「ワタミには、企業理念の中に『社員は家族であり同志』という言葉がある。そういう人に対して、労使関係は基本的に存在しないと思っている。今も、今までも、こらからも組合問題についてはいろいろなご意見が出るかもしれない。だが、今の段階として作らなければならないとも思わないし、作ろうとも思わない。組合があるから、社員の考えていることがつかめるわけでもない。今はワタミにとって必要かというと、必要でないと思う」と応答しています。

 

もちろん世の中には労働組合がなくとも、労使関係がうまく機能している企業はたくさんあります。しかしそういう企業は、まず採用にテマ(手間)・ヒマ(暇)・カネ(金)をかけて自律自走する人材を集めることに必死です。そして従業員持株会のシェアを一定のプレゼンスがあるレベルに維持するなどして、「自分達の会社」でもあるという意識を、従業員全体に植え付け、その上に最大公約数のコンセンサスのある組織風土を創っている。だからこそ、そういうことも可能になっているわけです。

 

「ルールより以心伝心」といった「似非家族主義」が、「労働組合」の有無を飛び越えて、「労使関係は基本的に存在しない」などという、トップマネジメントのトンデモ発言になってあらわれるのでしょうが、そこにはトップが自己満足している「理念」があるだけで、何ら従業員のコンセンサスに裏打ちされた「仕組み」がありません。普通の人を普通に採用している会社なら、それではどこからも企業を再建する様な組織エネルギーと言うのは湧いてくるとは思えません。少なくともそこに普通の仕組みである「労働組合」くらいなくて、どうして「強力なかつ戦略的な人事労務施策」を通じてV字回復軌道に載せるためのスタートラインに立つことができるでしょうか。

 

まずは資本政策を見直し、ボードメンバーを刷新するなどして、カルチャー再構築の足場固めから始めないと、とてもワタミの再生は難しい。人事労務管理、組織行動が経営の成果と直結する業態であり、外部環境の現在最大の課題がそこにある限り、その様に私には思えます。

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