成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「情報漏洩」防止のための労務管理。ベネッセ型(外部再委託型)より怖い退職者漏洩型。

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ベネッセの「個人情報漏洩問題」が大きな話題となっています。今回のケースは子会社から外部業者への再委託のところで名簿が流出したもののようですから、間接的にはともかく、直接には労務管理上の問題ではありません。

 

しかし、入退社の多い企業を中心に、労務管理上「情報漏洩」について講じておくべき措置はいくつかあります。今日はその点について。

 

「情報漏洩」と言う問題の性質上、「これで完璧」というようなことはあり得ませんが、最低限三つくらいの施策があるのではないかと考えています。

 

まず第一は、「就業規則」等での「営業秘密」の定義および情報の「保管」「利用」に関する制約の明記。前職で入手した名刺などを転職後も利用したとして、元の使用者が元社員に損害賠償を求めた判例では、「保管」「利用」の取り決めが労使間になかったことを理由として、不正競争防止法上の「営業秘密」にあたらないとして、訴えが認められなかったケースもあります。しかし逆に言えば、これは「就業規則」等で会社が施錠できるキャビネットや金庫で管理する方法を定め運用していたら、名刺ですら、「営業機密」になりうるということです。その場合は退職時に「回収」することも可能になりますから、デジタルの顧客情報の管理方法を規則・規程で定めた上、PCやデジタル媒体を回収するのと同様に扱っても問題ないでしょう。対外的な退職の挨拶をどうするかという様な問題は、情報管理を厳格管理した上で、別途方法を考えるというのでも問題ないだろう思います。

 

第二には、退職決定後の対応。退職者からの情報漏洩は、在職中に起こるケースもありますが、やはり退職決定後から、退職日までの間が一番起こりやすいとされています。ですから退職が決定したら、仕事に支障のない範囲で、回収物を早めに回収し、社内情報へのアクセスを制限したりする仕組みを整えておくべきです。もちろんこれらも、恣意的に行うのではなく、規則・規程、「円滑な退職の手引き」の様なものにまとめ、日常から周知できる状態にしておき、退職決定時に速やかにこれに沿って、作業指示を行うなどしておくべきでしょう。

 

最後に、退職時の「秘密保持誓約書」等作成。近年では入社時にこの種の誓約書等は作成することが多くなっていると思いますが、やはり退職時の「念押し」は大切です。実際に訴えに及ぶかどうかは別にして、牽制の意味で、退職日程決定時に、「退職後においても、情報漏洩等により会社に損害を与えた場合は損害賠償責任を負う」という様な文言で作成しておくことが大事だと思います。

 

特にネット通販その他の企業では、今後今回のベネッセの様な顧客情報周りで問題が頻発するでしょうから、退職者経由の「情報漏洩」防止のための労務管理を検討する必要性は高いと思います。ご相談はこちらまで、お気軽に。

 

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