成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

「退職コスト」思考が企業を救う!

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新卒採用だけでなく、若年層を中心に雇用の回復が急ピッチになってきました。日本の企業には、財務会計的な「採用費」という概念はあっても、管理会計的な「退職コスト」という概念があまり根付いていません。しかし、労働需給が逼迫してくると、この「退職コスト」が大切になるというのが今日のお話です。

 

欧州のビジネススクールなどでは随分研究されている様ですけど、ざっくり言ってしまうと「一人の人員が退職する場合に、その代わりとなる人材を採用し、教育訓練を施して従前の通り機能する様になるまでの全コスト」ということになります。こういう概念ですから、先程も述べた様に一つの勘定科目から引っ張ってきて直ぐにわかるというものではありません。管理会計的に処理して始めてわかるものですし、業種・企業・職種・職位によってもコストの大小があるでしょう。

 

私の場合は、採用広告費や人材紹介会社への紹介料、選考に割いた人事担当者の人件費、入社に際して新たに発注した消耗品や備品の費用、研修費用、前任者同様に仕事ができる様になるまでサポートした人員の人件費などに加えて、もし前任者の退職時に労働トラブルがあれば、それを金銭解決した場合の「解決金」等も入れて計算しますので、この金額はとても大きくなります。一概に言えませんが少なくとも、その人が入れ替わったポジションの標準年収の30%~60%には達するはずです。ということは年に2、3人が入れ替わると、1人余分に雇用したのと同じことになるわけです。

 

そしてこのコストがこれから暫くの間は上昇していきます。今の状況だと労働需給が逼迫し始めていますから、前任者と同レベルの人を採用しようとすると採用コストがかなり膨らんでいく。それでも採用できればまだましで、コストを掛けた挙句にある程度レベルダウンした人材でポジションを埋めることにもなりかねない。そうなると研修費用やサポート人員の人件費に跳ね返ってくるわけです。ポジションにもよりますけど、下手をすると「1人入れ替わると2人分の人件費が掛かる」という様なこともこれから暫くは考えられるわけです。

 

誤解の無い様に申し上げると、私の持論として、闇雲に「離職率の低い会社=良い会社」とは全く思っていません。適度に人が抜けて新陳代謝していく企業ほど人が育つ。ですがそれは、前任者がある程度後任を育てた上で卒業が起きる「人が代わる」会社の話であって、次か次に「人が替わる」会社のことではないのです。

 

一度過去の事例を使って皆さんの会社でも「退職コスト」を検証されてみると良いと思います。こういう話をすると、中には全く採用にコストを掛けない会社もあるので、「退職コストはそんなに大きくない」と反論する人が居ます。なるほど、確かにそうかもしれません。でもですね、そういう会社は対年収割合はもっと低いかも知れませんが、往々にして後任が決まるまで何人も入っては辞め、入っては辞めを繰り返しているものです。笑えない話ですが、そういう企業では「前任者が辞めて後任が同様に機能するまでに入ってきて辞めた人員に支払った賃金」の5割くらいは「退職コスト」に算入されることをお奨めします。

 

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