成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

実録・無名企業の「伝説の新卒採用」

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無名な中小企業・ベンチャー企業でも本当に新卒採用は成功するのか?不安に思われる方もおられると思いますから、今日は過去に私が担当者兼責任者としてフル参戦したベンチャー企業(というよりベンチャー化した企業)の新卒採用のノンフィクションをお届けしましょう。

 

私は2004~2005年頃、中国で業務用の家具・内装資材を生産し、それを用いて日本国内の飲食・サービス・流通等チェーン店向けに特化した内装・店舗開発を行う急成長企業の取締役管理本部長をしていました。入社時のミッションとしては、財務面を中心に株式公開に向けて管理部門を見て欲しいという話だったのですが、年商が20億から35億円位になるステージで急激に内部環境が変化しているにもかかわらず、経営トップ以下、取締役に組織人事の基本を理解している人材が一人もおらず、財務以上にそちらの管理運営が喫緊の課題となり、入社から半年程の間に、いきなり退職者が20名出て30名中途採用するというクリティカルな日々を経験することになったわけです。

 

それが一段落した2005年の年頭に「新卒を採用の中心に据えて、しっかり足腰をつくって上場を目指す」というトップマネジメントの意志表明の下、その企業として初めて新卒採用を2006年新卒で行うことが決まり、リクルートグループの後輩で私がスカウトしたきたマネージャーと二人三脚で採用活動を開始しました。新卒採用市場では全くの無名企業でありながら、業種的なユニークさもあってか、結果としてはエントリー数4000名、説明会参加者約700名を集め、その中から厳選採用で内定者数が10数名。内定者の内訳は営業・管理畑については、全員国立大学か関関同立MARCHレベル、設計・デザイン畑も国公立の建築系出身者が半分を占めるというものでしたから、正直「絵に描いた様な」大成功だったわけです。採用媒体としてマイナビを使っていたのですが、当時のマイナビ担当者がサイトオープンから3日ほどで2000名を超すエントリーを全くの無名ベンチャーが集めたということで、「伝説のベンチャー新卒採用」という異名を付けてくれた程です。

 

一つだけ想定外だったのは「人材レベル」に重点を置いて内定を出していくと、当初予定より断然女子学生の比率が高くなってしまったことでした。プロボノの就活支援で学生に接すると、大卒時点の「職業人としての仕上がり具合」だけで言えば、当時もそうでしたが今は当時以上に女子学生の方の完成度が高くなっているように思います。ですからどの企業でも、女子学生の応募者の方が男子学生の応募者より少なくとも1ランク、新興企業やベンチャーの場合なら2ランク、レベルの高い人材が集まります。 その際の採用ではこの点について、マネジメント側の工夫で対応することとし、レベルを下げてまで男子学生を採用しないということで社内コンセンサスを得ました。この英断もその新卒採用が成功裡に終わった一因だったと思います。

 

そして何よりも前のブログで書いた新卒採用の5つのツボを愚直に実行したことが、その時の勝因でした。

 

兎に角全くと言ってよい程知名度のない非上場のベンチャー企業が急に新卒を始めたわけですから、まずはマイナビでの母集団形成のために、その会社がアピールできる武器を総ざらいして訴求することに全力投球。「店づくりに関わるというクリエイティビティ」「企業としての成長力と明確な経営目標の設定」「そうした環境の組織で働くことの個人としての成長」の3つを、余すところなくマイナビのコンテンツに詰め込み表現しました。

 

そして母集団形成が順調に進んでも手を抜かず、10名~15名までの少人数会社説明会兼一次選考会を50回近く、東京・大阪・福岡を何度も移動して実施しました。参加する就活生は1回限りですけど、採用選考するこちら側は毎回同じことをやるわけですから、これは肉体的だけでなく、精神的にもヘビーな作業でしたが、足を運んでくれる就活生に感謝を込めて「賓客をもてなす」様にコミュニケーションしていきました。大人数だと就活生も十分に聴きたいことも聴けないし、これくらいの人数で“座談会風”の説明会兼選考会にしないとリラックスして自分を出してもらえない。またこの説明会兼選考会の時間の半分は、参加者を3~4のグループに分け、実際の業務で遭遇するケースを「課題」として与え、それに対してメンバーで力を合わせて「解決策」を作り、上司にその実施を進言するプレゼンまでを行う一種のグループディスカッションというか、企画会議のロープレをやってもらいました。これをやれば誰がどんな役割を果たし、どんな貢献をしそうかが朧げながらわかってくるわけです。

 

この様に手間暇をかけた説明会兼一次選考会で就活生の心をつかむと、掲示板等を通じて評判を呼び、エントリー数がさらに伸びたりもしましたが、兎にも角にも、新卒採用は努力とリターンの関係が明確に出る企業活動でもあり、2次、最終面接を経て既述の様な成果を収めることができたわけです。

 

冒頭で「無名な中小企業・ベンチャー企業でも本当に新卒採用は成功するのか?」と書きました。答えは、上記の事実をもってして、Yesです。但し、上記程の努力をすればというエクスキューズが入ります。これはもちろんリクルートの採用でなく、ベンチャーの新卒採用実録ですが、「自分より優秀な人材を採用するために、飽くなき“スケベ心”を持ち続ける」という意味では、間違いなく「リクルート流」の新卒採用術の応用です。勿論個別企業を取り巻く環境や予算によって成果は変わってきますが、こんな採用はやる気になればやれるのです。ご興味のある方は、下記から弊事務所にお問い合わせ下さい。喜んでご相談に乗らせて頂きます。

 

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