成長企業の労使関係デザイン@特定社労士

リクルートグループに学び、ITベンチャー・急成長メーカー・創業100年商社で試した、大阪・梅田の実践派特定社労士が労使関係管理と人事労務管理の極意を伝授!「組織の成長」と「個人の幸福」の相互作用が未来を創る!!

中小・ベンチャー・中堅企業の新卒採用5つのツボ

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採用ブランドをこれから構築していかなければならない中小・ベンチャー・中堅企業が新卒採用で、何に気をつけなければならないか。大手の2015年新卒採用はほぼ終盤戦ですが、中小・ベンチャー・中堅の採用はここからが勝負。今回はこれについて触れたいと思います。

 

ツボ①:「賓客をもてなす」様に応募者に接する。

殆どの新卒採用を始める会社はこれが出来ていません。だから採用に失敗すると言っても過言ではない程です。「新卒採用ブランド」のない会社が、突然「採用始めました」と言ったところで、簡単に優秀な人材を採用できるほど、新卒採用はあまくありません。ましてや「(買い手市場なんだから)採用してやる」という態度が全面に出ている企業など論外です。企業にも選ぶ権利があるのと同じように、貴重な時間を割いて選考に足を運ぶ応募者にも選ぶ権利があります。それに現在進行中の来春2015年の新卒は、既に「買い手市場」ですらなくなっていますから(求人数で対前年比25%超の増加、直近の新卒求人倍率1.61)、ツンデレでいられるのは、就職人気企業ランキングに入っている企業でさえ、インフラ系企業とか総合商社、採用人数に比して応募者の多い著名な消費財メーカー、先行き明るいわけでもないのに学生から見て華やかに見える広告代理店や旅行代理店くらいのものだと肝に銘じておくべきです。だからと言って、別に学生に媚びる必要などありませんが、「賓客をもてなす様に」「リスペクトをもって」学生に接する「構え」は、新卒採用を成功させるための大前提です。

 

ツボ②:新卒採用は「ファンづくりのための全社活動」という認識を浸透させる。

新卒採用の話をすると、人事担当者、採用担当者だけの課題と思いこんでいる企業も少なくありません。しかしこれは全く見当違いというものです。私が過去に手掛けたケースでは、「1人や2人の縁故採用ならともかく、大々的に新卒をやるのに、納得感のある人事評価制度がないでは説明会もできない」とトップに進言し、全社に関わる評価制度づくりを新卒採用の前に行いました。つまり新卒を迎えるに際して全社の評価基準から見直したわけです。そうしないと、新卒採用が全社の問題であり、企業が自律的に変化できる数少ない機会であるということが組織全体に浸透せず、新卒採用から得られリターンが小さくなるからです。内定者フォローで他社に持っていかれないために、社内の様々なポジションの人に会わせるということが必要になる場合があります。そんな時いやいや出てきてもらうのがNGなのはもちろん、「魅力的な人が居る会社だなあ」「こういう人達と働きたい」と「見える化」を通じて感じてもらわないと、中小・ベンチャー・中堅の採用は成り立ちません。さらに、会社が就活生を見ている以上に就活生は会社を見ています。採用担当者以外の人であっても、会社の粗が就活生の目に映ったら、100%掲示板に書き込まれる時代です。別にビクビクする必要などありませんが、会社全体が新卒を契機に自社のファンづくりのために再起動するぐらいの心構えでやることが必要なんです。

 

ツボ③:「量が質を生む」を意識し、応募者の母集団形成に注力する。

新卒採用の基本原則は「量が質を生む」です。ですから、応募者の母集団形成が中小・ベンチャー・中堅の新卒採用では鍵を握ります。大手企業ではエントリー数が膨大で、しかも本気でない就活生の数も相当数に上るため効率が悪く、いわゆるリクナビマイナビなどを通じた採用活動を見直す動きも出ています。しかしながら、依然として中小・ベンチャー・中堅企業の場合は、ある程度の応募者の母集団どう形成するかが重要です。業種や社歴、成長ステージによっても異なりますが、中小・ベンチャー・中堅企業の場合、リクナビマイナビを使うのがコスパ上良くないと判断したら、JOBRASSに代表されるような「逆求人」媒体でのアプローチや、公的な団体・機関が主催する無料かリーズナブルな価格の合同説明会を組み合わせて、距離感の近い少人数の個別説明会に結び付け、それを回数多く実施することで、リアルな応募者を積み上げていくというのが、堅い方法論だと思います。こうした地道であるものの、好感を持たれる採用活動をやっていると、掲示板等を通じて就活生発信でプラスイメージが増幅されいくことも望めます。

 

ツボ④:「圧迫面接」なんか何の意味もない。「共感」「ポテンシャル」を引き出す面接を心掛ける。

個別説明会である程度の就活生と接点を持てたら、どう選考するかがテーマになってきます。クリティカルな局面でどうふるまうかを見極めるには、「圧迫面接」が良いと思っている人もいるようですけど、警察官や消防士やパイロットを採用するわけではないし、もちろん組織で危機管理を担う人材は必要ですけど、全ての人にそういう役割が求められるわけではありませんから、それは見当違いというものです。ストレス耐性を見たいのであれば、ペーパーテスト等でも見極められるので、貴重な面接時間をそんな事に使ってはいけません。面接の入り口では、まずコミュニケーションを始めるための「メタ・コミュニケーション」として、雑談からお互いの「敬意」「共感」のポイントを探り、そこを起点として応募者の「潜在能力(ポテンシャル)」のあり様を面接官が引き出していく。仮に採用の基本的な条件として、「安定的に仕事に粘り強く取り組む」ということを求めるなら、そうしたことに関連した質問で採用のベースラインに立っているか否かを確認していくのが第一歩です。それと同時に「一緒に働く仲間としてどんな貢献をしてくれそうか」「どんな特徴があって、自社の人材ポートフォリオの中でそれが活かせそうか」を面接を通じて探っていかないといけません。原則新卒の場合、働いた経験がないわけですから、どの問も部活やゼミやアルバイトや留学経験といったものが下敷きになって会話が交わされることになります。従って面接官には、それを仕事ベースに置き換える「翻訳能力」が備わっていいないといけないわけです。

 

ツボ⑤:「面接」でわかることは限られている。「シミュレーション選考」「行動選考」を重視する。

④で「面接」について書きましたけど、過度に「面接」に依存した選考をしていても何も応募者の本質に近づけないということがあります。その面接が型どおりであればあるほど、今や応募者の「傾向と対策」もバッチリで、判で押したような模範解答が返ってくるからです。そこで、これも今では一般化してしまいましたけど、応募者を複数のグループに分けて課題を与え、その課題に対するプレゼンをしてもらう、グループディスカッションの様な、仕事の「シミュレーション」で、面接でわからない特性を顕在化させようという選考が広まったわけです。グループディスカッションも既に「傾向と対策」が結構確立されているので、「シミュレーション選考」「行動選考」に捻りが必要になってきています。面接よりもこれらの選考結果に含まれる応募者の真の潜在的な「仕事力」の含有率の方が高いと私は経験上は思います。ですからこの部分には、各社創意工夫して「傾向と対策」が通じない新しいコンテンツを作成する必要があるわけです。

 

P.S.

長々と書いてきましたが、これで語り尽せたわけでもありません。新卒採用が簡単そうに見えて、結構奥深いかものだとおわかり頂けたかと思います。冒頭にも書きましたけど、2015年中小・ベンチャー・中堅の新卒採用はこれからが勝負です。我が事務所ではクライアント企業のご希望に応じたカスタムメニューで新卒採用のお手伝いをしています。お気軽に、以下のバナーからHPをおたずね頂き、お問い合わせ下さい。

 

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